さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

動脈圧波形の意味 Aライン波形

こんにちは、さちこです('ω')ノ

台風が近づいているので、

雨と雷がすごいですね。

皆さんも必要な時は、早めに避難

するようにしてくださいね。

 

さて今日は、集中治療っぽい類のことを

書いてみようかと思います。

働きだすと、こんなところまで

観察することないよー。なんて

思うかもしれませんが

結構大事な部分なんですよね~

観血的動脈圧測定による動脈圧波形は

波形1つでいろんな情報を教えてくれます。

難しいからやだな~とは思わず

一緒に勉強してみましょう★

 

集中に配属になったら割と最初のほうに

調べてきてといわれる項目です💡

 

では始めます!

 

本日の流れ

 

 

1 観血的動脈圧とは

動脈内にカテーテルを挿入して

測定する血圧のことです。

一般的に橈骨動脈が用いられますが

橈骨動脈でラインが入らない場合は

足背動脈、大腿動脈、上腕動脈などが

用いられます。

観血的動脈圧測定は、カテーテル、三方活栓、

トランスデューサー、加圧バック、ヘパリン入り生食

モニターなどから構成されます。

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以前血圧の記事でもお話ししましたが

血圧を決める主な要因には

①心拍出量

②末梢血管抵抗

③循環血液量

④血液の粘性

⑤血管の弾性

があります。

 

観血的動脈圧の数値を観察することで

組織にどれだけの血液が供給されて

いるのかを推測することができるんです。

 

観血的動脈圧測定は、

収縮期血圧拡張期血圧のほかに

平均血圧を観察できます。

この平均血圧は臓器血流が届いているかが

分かるので、とても重要な数値です。

平均血圧60㎜Hg未満になるとショックが

考えられ、臓器血流が十分でない状態

あるといえます。

 

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青〇が平均血圧

 

2 動脈圧波形の実際

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動脈圧波形を観察することによって

波形の立ち上がりから心収縮力

 動脈の弾性

収縮期の面積から一回拍出量

 左室駆出率が推測できる

 

青の縦線が引いてある部分は

一回拍出量を表しており

脱水などにより心拍出量が低下すると

この部分の面積が減少

尖った波形になります。

 

また、循環血液量減少の時は

波形の図の⑤のディクロティックノッチ

消失または遅延します。

消失するのは、動脈カテーテルまで

動脈弁閉鎖の振動が

伝わらないことが原因です。

遅延するのは、血液充満まで

時間を要することが原因です。

 

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波形の図の拡張期の最後の方に

体血管抵抗と書いてありますね

この最後の下り坂の角度は

血管抵抗を表しているので

抵抗が強いと出し切るまでに

時間がかかるので角度が

なだらかになります。

逆に敗血症などでは

血管抵抗がなく出し切って

しまうので、ストンと落ちてしまい

角度が急になります。

 

 

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波形の図の収縮期の始まりに注目!

緑の丸がついている所です。

この部分から波形は立ち上がりますが

この立ち上がりの傾斜が緩やかな場合は

大動脈弁狭窄症後負荷の増大

心機能の低下などが考えられます。

 

 

3 動脈圧波形の種類

ココでは、オーバーシューティング

オーバーダンプ(なまり)、

アンダーダンプ(共振)

について説明します。

 

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オーバーシューティング

観血的動脈圧測定では、末梢動脈に

カテーテルが留置されるため

特性上、反射波・共振で増幅されて

尖った波形になってしまうことがある。

これをオーバーシューティング

といいます。

 

このオーバーシュートが起こると

大動脈起始部の血圧より収縮期血圧高く

拡張期血圧低く表示されます。

特に動脈硬化が強かったり、

下肢動脈などに留置されていたりする

場合はより、その傾向が強くなります。

そのため、モニター装置に共振で発生する

高周期を除去する回路が標準的に

組み込まれています。

 

そうみたいなんだけど・・・

割とよくみる波形なんです。

 

圧測定ラインが長い・細い・やわらかい

場合や、小気泡がルート内に

混入している場合末梢血管が収縮すると

オーバーシュートが強くなり

本来の血圧よりも高く表示されます。

 

先輩たちが”オーバーシュートしてるから”

と言っているときはこの波形のことです。

 

オーバーシュートだからしょうがない!

と思っていても実測の血圧は測定して

みた方がよいでしょう。

なんでかというと、オーバーシュート

かと思っていたら本気で血圧が

めちゃめちゃ高かったということも

あるからです。

また、実測と動脈圧の差があると

わかっていても

定期的に実測は測っといた

方がいいです。

差があったのにいつの間にか差が

ほとんどなくなってた!ということも

あるんです。

 血圧コントロールが必要な場合

実測と動脈圧がどのぐらい差があって

どっちで血圧を見るべきか

医師に確認することもあると思います。

その場合差があると思って

血圧のコントロールしてたけど

全然差がなくなってた!だと

本当に困ります。

必要な血圧コントロールを行うためにも

必ず定期的に実測は

測るようにしましょう。

 

アンダーダンプ(共振の波形)

先鋭化した波形をモニターの

ダンピング回路でも処理できずに先鋭化

したまま表示されている状態を指します。

収縮期血圧は過大評価されます。

拡張期血圧は過小評価される

ことがあります。

ダンピング装置をルートに

割り込ませることで

対応することが可能です。

個人的にはこの波形を

見たことはあまりないです。

 

 

オーバーダンプ(なまりの波形)

よく先輩たちが言っている

「鈍ってる」という状態の波形を

いいます。

波形が鮮明に表示されていない状態です。

ルート内の大きな気泡や留置針が

血管壁に当たっているとオーバーダンプ

波形になります。

血管壁に針先が当たっていること

の方が多いですね。

この場合は針先の角度を調整して

固定しなおすことで

改善します。

また、敗血症などにより

血管コンプライアンスが低下すると

鈍った波形になります。

あとは針先が折れていたりすると

鈍っている状態になります。

その場合はもはや新しく動脈ラインを

留置してもらうようになってしまいます。

針先が折れないように固定をしっかり行い

管理することが大事ですね。

※この固定はやりすぎると患者の関節や

神経を痛めてしまうので注意が必要です。

 

オーバーダンプの時は

収縮期血圧過小評価、拡張期血圧には

影響しない場合もあります。

 

どうでしたか??

動脈圧波形は集中や手術室、救急などでは

よく見ますが病棟では

あまり見ることがないと思います。

でも病院によっては病棟で

管理することもあると思います。

そんな時にこの記事を

思い出してもらえたら

嬉しいです。

では今日はこのあたりで

終わりにします!

 

また書きます☆

 

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