さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

術後管理 術後せん妄の対応 せん妄の基礎

こんにちは、さちこです!

今日はまた術後管理に戻って

術後合併症のせん妄について

お話ししようと思います。

術後は患者に様々なルート類が

ついているので、せん妄状態に

なってしまったらナースサイドも

ヒヤヒヤしますよね。

 

今回はそんないや~なせん妄について

基礎から振り返り

基本的な対応策についてお話しするので

振り返ることで落ち着いて

せん妄の対応ができるよう

になると思います。

では早速始めます('ω')ノ

 

本日の流れ

 

1 術後せん妄とは

術後に一過性の精神障害が生じることがあります。

多くが術後せん妄です。高齢者に生じやすいこと

を特徴としています。

手術直後から発症までは意識がはっきりと

していることが多いですが

前駆症状として不眠・不安を訴え、

手術直後もしくは術後2~3日で発症します。

症状としては、幻覚・錯乱・興奮などが

あらわれます。

発症してから3日~1週間前後で回復しますが

高齢者では慢性化して認知症に発展する

こともあります。

せん妄によって安静が保てず治療に支障をきたし

全身状態の悪化や二次的な事故につながることも

あるので、せん妄の前兆がないか

よく観察して発症時には早めにDrへ報告

対応する必要があります。

 

★私も何度も経験があります。

せん妄で患者が混乱してしまって安静が保てず

状態悪化してしまったケースや

何らかの管を抜去されてしまったケース

いろんなことがありましたが

せん妄の前兆はきっと皆さん

感じたことがあると思います。

・目がギラギラしてきた、

・いつもよりめっちゃ患者さんテンション

 高くなってきた

・めっちゃ話し始めた(多弁)

・いない誰かと話し始めた(独語)

・虫がいる!と訴え始めた(幻覚)

こんな前兆が現れ始めたら危険です。

◎前兆かもと思ったら事前にDrへ相談して

 夜間の指示を確認しておいたり

◎夜勤の時、夕飯食べ終わってもう寝られる

 状況であれば早めに不穏時指示の薬剤投与したり

 

とにかく私の経験上

前兆が現れたらできるだけ早く対応したほうが

いいです。様子見る手もありますが

すこしタイミングを間違えると、

くすりではおさえられないぐらいに

なってしまいます。

一緒に勤務している先輩と相談して

せん妄の対応をすることをお勧めします。

 

 

2 せん妄の種類

せん妄には過活動・低活動・混合型の3つの種類があります。

それぞれに特徴があるので見ていきます。

 

【過活動型】

幻覚や妄想、興奮、失見当識などの症状が

出現します。

攻撃的なせん妄というイメージです。

せん妄といえば、過活動型の攻撃的な

イメージがある看護師さんは多いと思います。

ルートを引っぱったり、突然起き上がったり

攻撃的な言動が目立ちます。

 

【低活動型】

ぼーっとして、活気がない状態のせん妄

のことを言います。

このせん妄のタイプは、気づかれにくく

・お昼なのに目をつぶって過ごしている

 ことが多いなぁ。

・どこか具合が悪いのかな。

・なんだか全然お話ししてくれないな。

そんな風に感じてしまってせん妄の症状で

あることを理解されずに

対応が遅れてしまうことがよくあります。

 

【混合型】

過活動と低活動の混合型です。

”すごく攻撃的な言動があったと思ったら

あれ今日はお昼から目をつぶっていることが

多いな。”

という感じで、

過活動と低活動が交互に出てくる

病態です。

低活動を看護師サイドで

認識できるようになると

混合型であることが分かると思いますが

低活動が認識されないと、

混合型の症状が出ていても

”今日は疲れてしまっているのかな”

などというように症状の把握が出来ず

対応が遅れてしまいます。

 

3 せん妄の評価指標

過活動型は、言動が攻撃的になることが

多いためせん妄の指標がなくても

わりと把握しやすいですが

低活動型や混合型などは

せん妄であるか認識できないまま

時間だけが流れてしまうことが

多いです。

せん妄か認識できない時間が長いと

患者に適切な対応が出来ず、

せん妄自体の治療が遅れることはもちろん

元の疾患の治療もせん妄の症状によって

適切に行えなかったり、治療が遅れてしまったり

すること起こります。

そういったことを防ぐため

患者の状態を正確に把握するために

活用されているのが、

せん妄の評価スケール」です。

 

 

ICUでよく用いられているのは

・CAM-ICU

・ICDSC

です。

 

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CAM-ICU

 

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ICDSC 4点以上でせん妄有り

CAM-ICU

≪長所≫

・その時のせん妄の有無を評価できる

 (イムリーに評価できる)

・挿管や気管切開で発声が

 出来ない患者にも使用できる

・評価にかかる時間が短い

 

≪短所≫

・重症度の評価が出来ない

患者の協力が必要

・視聴覚障がいがある患者では、

 評価しにくい

 

ICDSC

≪長所≫

・8時間又は24時間以内の情報に基づき

 自分の勤務した時間を振り返って

 その時間の間のせん妄の有無を評価できる

・挿管や気管切開で発声が

 出来ない患者にも使用できる

・評価にかかる時間が短い

患者の協力を必要としない

 

≪短所≫

・その時のせん妄の有無を評価できない。

 

★集中治療領域では使われている病院も

あると思いますが、私が働いていた病院は

そういった指標が採用されておらず

その存在もあまり知らなかったです。

3年目の看護研究の時にアセスメントツールを

使用する事でせん妄が見落とされにくくなって

早期対応ができるようになるのではないか

ということで研究のお題にしました。

 

研究結果はやはりアセスメントツールを

使用しせん妄の評価を可視化することで

共通認識となり、早期からの介入が

可能となることや

経験の差や不安定なアセスメントを回避する

手段として、せん妄アセメントツールを

導入する事は有効だったという結果になりました。

 

私の経験からもせん妄のアセスメントツール

であるCAM-ICUやICDSCを使用して

患者の状態を把握することは

正確に状態の把握をし必要な対応を

早期に行える点から大事なのだということが

言えると思います。

 

 

4 せん妄の対応

せん妄予防ケア

・患者背景を把握すること

・治療や処置、ケアの時はどんなことを

 行うのか細かく事前に説明し体験に対する準備を行う

・全身状態の管理を的確に行うこと

できるだけいつも通りの環境を作る

活動と休息のバランスが取れるように

 生活リズムを整える

・時間や場所を伝え、現状認識を促す

・家族との面会を行う

 

せん妄時のケア(早期に収束させるコツ!)

・せん妄の原因を検索し、緩和・除去する

 

・せん妄症状に対応し、安全な療養生活を

 維持できるようにする

 (不要なルートやドレーンは医師と

  相談の上抜去してもらうなど)

 

 

今日はこの辺で終わりたいと思います。

 

 

 

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せんもうについて書いてみました。よかったら見てみてください!http://saccyan-kango.hatenablog.com