さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

術後管理 循環動態の観察

こんにちは、さちこです!

ここ最近は術後管理シリーズが続いていますが、

呼吸については一旦終了して

今日からは、循環について

お話しようと思っています。

術直後は、手術の様々な影響で循環動態は不安定です。

‘’脈拍や血圧の数字だけで体の中で何が起きているのか

いまいちピンとこない‘’

という方いらっしゃると思います。

今日のblogではそんな方がきっと役に立つ

「何による循環動態の崩れが生じているのか」

考える力になると思います。ぜひ読んでみてください!

 

 

ではお話ししていきます。

 

 

 

 1 脈拍

正常と異常

脈拍は通常橈骨動脈で触知しますが

ほかに総頸動脈、上腕動脈、大体動脈、足背動脈など

でも触知できます。

術式にもよりますが、特に左右の橈骨動脈と足背動脈には

術前から触知できる位置をマーキングしておくと

術前との比較も可能ですし

術後の観察もしやすくなるので、おすすめです(*'ω'*)

また、左右差がある場合は必ず記録に残しておいてくださいね☆

 

豆知識*

病院など施設によっても違うかもしれませんが

私が勤めていた病院では

触知できる場合は 縦線̩ | もしくは バツマーク ×

触知はできないが、ドップラーで聴取できる場合は

マルマーク 〇

をつけることが多かったです。

自分の施設では、どういう決まりなのか確認してみてください。

★分かりやすい画像添付する

 

💡Point

血圧を測らなくてもどこで脈が触知できるかによって

大体の血圧がわかります。

橈骨動脈が触れる⇒収縮期血圧80㎜Hg以上はある

大腿動脈が触れる⇒収縮期血圧70㎜Hg以上はある

総頸動脈が触れる⇒収縮期血圧60㎜Hg以上はある

 

 

脈拍の正常は

60~100回/分です。☚結構参考書によって違うみたいです。

私も60~80ぐらいかと思っていたらびっくりしました(;^_^A

 

60回以下/分を徐脈

100回以上/分を頻脈

といいます。

 

頻脈

【原因】

・術直後(傷害相)では、頻脈傾向になります。

 これは、術後には呼吸抑制や呼吸異常などで

 低酸素血症を起こしやすく、心拍数を増やすことで

 細胞に必要な酸素を送るためです。

 

出血による頻脈

 出血により全循環血液量が15%低下すると

 循環血液量が減少し血圧が低下してしまいます。

 それを防ごうとして、心拍数が増加するため

 頻脈になります。

 

体温の上昇による頻脈

 体温が上昇することによって細胞での

 酸素消費量が増加します。

 各細胞での酸素消費量が増加すると

 いつも通りに酸素を運んでいては、

 酸素量が足りないため心拍数を増やします。

 

 120回以上/分の頻脈が続く場合には

 心筋の仕事量増加に比べて

 それに見合う心拍出量の増加が

 得られなくなるので、心筋の酸素不足と心臓が疲れてしまい

 心室細動や心停止の危険が生じます。

 ⇒術後の体温管理はとても大事!

 

 ★頻脈に血圧低下が伴う場合は、心拍出量が保てなくなっている

  ことが考えられるため、とても危険です💦

 

苦痛による頻脈

 疼痛、腹部膨満、興奮などの苦痛時にも頻脈が生じます。

 交感神経の興奮によるもので、この場合は血圧が上昇します。

 

 

徐脈

高齢者は一般的に脈拍数が少ないため

50回以下/分を徐脈としています。

 

【原因】

低体温による徐脈

 手術中は裸で、消毒液で肌が濡れていたり

 臓器が空気に触れていたりすることによって

 低体温になりやすいです。

 代謝が低下すると、全身の細胞が

 いつも通りに動かなくなったり

 細胞が死んだりします。

 このため、心臓動きが悪くなり

 徐脈になります。

 

※低体温の場合、最初は交感神経活性上昇により

  頻脈・心拍出量増加しますが、

  その後細胞死の影響で徐脈となり

  さらに低温になれば心室細動・心停止に移行します。

 

脳圧亢進による徐脈

 頭蓋内圧上昇すると、脳血流量低下により

 酸素供給不足となります。

 脳の虚血を改善するため、交感神経が刺激され

 末梢血管抵抗が上昇し血圧が上がります。

 血圧を一定に保とうとして、心拍出量は低下

 ⇒心拍数低下(徐脈)

 となります。

 

低酸素による徐脈

 低酸素の初期には頻脈ですが

 迷走神経の興奮により徐脈になります。

 

深い麻酔や突発性の激痛による徐脈

 迷走神経の興奮により徐脈となります。

 

脈拍のリズム

術後には水分や電解質(特にカリウム値)バランス、

低酸素、疼痛、血圧異常により不整脈を起こしやすいです。

術中、術後は心電図をモニタリングし注意深く観察が必要です。

脈拍の大きさ

・大脈

 1回拍出量が大きく拍動も強い。

 

・小脈

 1回拍出量が小さく拍動は弱い。

 低血圧の時に見られる。

 小脈時は頻脈でもある。

 

2 皮膚や爪

脈拍の確認時に、皮膚の乾燥・湿潤、皮膚や爪の色、

弾力性、浮腫なども一緒に観察する。

蒼白は、末梢血管の収縮による循環不良

出血による循環血液量の不足

疼痛・寒さなどの苦痛による交感神経興奮状態

を示します。

爪のチアノーゼは低酸素血症を示し、

還元ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)が

5g/㎗を超えるときに生じます。

ただし、貧血の時は還元ヘモグロビンが少ないため

低酸素血症でもチアノーゼが生じにくいです。

 

3 血圧

術後の血圧は2~3時間は30分間隔ごとに測定し

その後循環が安定したら

次の8時間は1~2時間ごとに測定します。

測定間隔は手術の内容にもよります。

 

血圧の正常

血圧の正常値は

収縮期130㎜Hg未満、拡張期血圧85㎜Hg未満

のことを言います。

 

血圧低下の原因

低血圧とは、収縮期血圧100㎜Hg以下をいい

80㎜Hg以下はショックレベルとされています。

ただし、術前に高血圧であった患者は

この基準を下げて血圧コントロール

する必要があります。

なぜかというと

高血圧であった人はもう体がその高血圧に

 慣れているため、急激に血圧を下げてしまうと

 体が対応できないからです。

 よく出会う例としては

 「血圧をいつもより下げて管理してしまったため

 尿が出なくなってしまった。」

 ということは結構よくあります。

 この時の体の状態としては

 いつもの高めの血圧がないと腎臓へ行く

 血液量が保てず、尿量が減少してしまう。

 という状態です。

 

・循環血液量の減少

出血によるものが多く、術後最も重要視されます。

特に術直後~48時間は、出血の危険性が高いため

注意深く観察する必要があります。

術中の出血量と輸血のバランスを考えて

術後の創やドレーンから出血を見ます。

 

💡ここで注意が必要なのは、ドレーンから見える

 出血だけではないということ。

 ドレーンから出てこない場所での

 出血も考えられるため

 血圧や脈拍などの循環動態の観察は

 とても大切になります。

 

出血があると肝臓・脾臓・末梢血管が

収縮して血液が集められ、再分配されて

血圧を上げようとしますが

これが出来なくなると

血圧が下がり、頻脈となってしまいます💦

 

出血以外にも手術による傷や損傷のある部位に

血管の透過性が亢進して血液(血漿)成分が

 

血管外に出てしまいます。

(血管内からサードスペースに漏れ出る

 ⇒客観的にわかることとしては浮腫

これにより、循環血液量が減少してしまいます。

 

・動脈末梢抵抗の低下

麻酔による自律神経遮断によって

末梢血管抵抗が低下し

血管が収縮しにくい状態となるため

血圧が下がりやすくなります。

特に動脈硬化のある患者は

血管の弾力性が悪いため

急激な体位変換を行うと

低血圧を起こしやすいです。

 

・心機能の低下

低酸素症や刺激伝導系障害により

心機能の低下が起こりやすいため

低血圧の原因となります。

 

血圧上昇の原因

疼痛や術後の苦痛・興奮によって

血圧はやや上昇します。

これは、苦痛や興奮状態が落ち着く

介入によって安静が得られれば

血圧は正常にもどります。

また、術中・術後の末梢血管収縮薬の過剰投与や

輸血・輸液の過剰投与によっても

血圧は上昇します。

血圧の上昇によって

創部の出血を起こしやすいです。 

高齢者の場合は、脳出血の誘因となったり

輸血や輸液などで循環血液量が増加し

血管透過性が亢進している時期

(サードスペースに血漿成分が漏れ出る時期)

と重なったりすると

肺水腫を起こす危険性があります。

なので、循環血液量のバランス

術後管理には大事なポイントとなります。

 

 

 今日はなかなかの大作になりました・・・

疲れてしまった(笑)

でもきっと術後管理に必ず使える知識

であること間違いなし!!!

私はこの知識ものすごーく役に立っていました

 

もし今度術後の患者を受け入れることが

あったらこの記事のことを思い出しながら

術後管理してもらえたらうれしいです★

 

 では今日はこの辺で!

おやすみなさい(´ω`*)

 

 

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今日はがんばりました。循環動態の観察についてよかったら見てください⭐️http://saccyan-kango.hatenablog.com